1.かわいくなりたい
「なんか、つけとる?」
「え、」
言われた瞬間、身体中の血が沸騰した。気づかれた気づかれた気づかれ、た! 真っ赤になったあたしをよそに、あいつは顔を近づけると親指で唇に(!)触れて笑う。
「……うん、よう似合うとる」
あぁもうそんなに顔を近づけないで指でなんて触れないでそんな風に笑わないで。癖になる。止まらなくなる。もっともっとと、「褒美」を期待してしまう。
かわえぇよ。
そういった声が妙に甘ったるく感じられて落ち着かない。アリガトと、掠れた声がやっと出た。
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2.我儘
「なぁ、なぁて!」
叫ぶと、めんどくさそうな顔が振り向いてやれやれと息をついた。
「何?」
「暇やねんけど! めっさ暇!」
「そう。今週号のジャンプならそこよ? サンデーとマガジンは棚の中。チャンピョンはないわよ悪いけど」
「そんなんしっとる! っていうかもう読んだ!」
「あらそう。じゃぁ残念ね」
言って彼女は視線を戻す。
いやいや、ちゃうやろそこは! なぁ!
「もういい加減相手してぇや! せっかくの休日やのに!」
「だからあとちょっとだってば!」
まったく彼女はわかってない。
そのあとちょっとが待てないから、こうして叫んでいるというのに。
・・・・・・
これとネタかぶったなー;
と、思いつつもこのままGO。引き出し少なくてすいません…orz
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3.それは最悪の言葉
「……なんていうか」
「ん?」
「ある意味最強なのよね」
「何が?」
「ん、好きってあんたに言われるのが」
「!」
「――――どうかした?」
「や、今のもちょっとした破壊力もっとるで」
「……そう?」
「無自覚なあたりタチ悪いな……」
最悪やと呟くと、腕の中で彼女が笑った。
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